


社団法人日本作業環境測定協会(日測協)が平成21年度に実施しました第3回総合精度管理事業クロスチェックにおいて、当会は前回(平成19年度)に引き続いて、全項目「合格」の評価を得ました(合格は2年間有効とされるため平成20年度の参加は、行えません)。
統一精度管理事業は、厚生労働省からの委託事業として、平成7年度から実施されてきましたが、平成18年度をもって終了いたしました。
作業環境測定機関のサンプリングや分析の技術の格差は依然として大きいことから、当該精度管理事業は精度の確保や向上のために日測協独自にクロスチェック方式で再スタートしました。
平成21年度に実施された項目は以下の6項目であり、当会はすべての項目について参加しました。
1)作業環境測定をする測定場所等を説明するデザインに関するチェック(全機関等対象 必須)
2)有害物質をサンプリングするために必要なポンプの流量較正に関するチェック(全機関等対象)
3)粉じんの管理濃度を求めるための遊離けい酸含有率の分析(第1号測定登録機関等対象)
4)特定化学物質(弗化水素)の分析(第3号測定登録機関等対象)
5)金属類(鉛)の分析(第4号測定登録機関等)
6)有機溶剤(混合有機溶剤)の分析(第5号測定登録機関等対象)
評価の判定は総合精度管理委員会が定める判定基準を満たしているか否かで審査が行われます。その結果、当会は6項目すべてにおいて優秀な成績を収めました。
今回の合格有効期限は平成22年4月1日から24年3月31日となっています。
クロスチェックの参加状況等については、日測協のホームページにて掲載されますので、ぜひご覧ください。
環境保健課HP http://www.kankyosokutei.jp/(上記HP右下に下記リンクがあります)
日測協HP http://www.jawe.or.jp/
平成21年度(第23回)も労働衛生検査(鉛・有機溶剤に係る生体試料検査)に関する精度管理調査に参加し、昨年に続いて「評価A」の結果を得ましたので報告をします。
この精度管理調査は?全国労働衛生団体連合会(以下全衛連と略します)が平成元年度から厚生労働省の委託を受けて、信頼性の高い優良な健康診断機関の育成を図ることを目的に実施されています。調査の概要は、全衛連から年1回、血液中鉛・尿中デルタアミノレブリン酸・尿中馬尿酸・尿中メチル馬尿酸・尿中マンデル酸・尿中総三塩化物・尿中三塩化酢酸・尿中2,5-ヘキサンジオンの8項目の検査の全部もしくは一部を自施設で行っている機関に精度管理試料(ブラインドサンプル)が送付されます。精度管理試料を受け取った各機関はそれぞれの検査を実施し、その検査結果を全衛連に報告します。集まったデータを全衛連内に設置されている労働衛生検査専門委員会が集計し、それを基に各機関を評価することになっています。
環境保健部では平成元年の法改正によってこれらの8項目の検査が義務化されて以来、全項目の測定を自施設で実施しています。なお尿中NNジメチルホルムアミドと赤血球遊離プロトポルフィリンの検査はこの精度管理調査からは除外されています(この2項目も自施設で検査しています)。
平成21年度(第23回)労働衛生検査(鉛・有機溶剤に係る生体試料検査)に関する精度管理調査の当会の結果と評価は、8項目の平均が98.0(満点100点)で【評価A】(技術的に良好でこの状態を維持する努力をして欲しい)に該当しました。
現在、これらの労働衛生検査は外部の検査センターや分析機関にて実施する委託化が進み、現時点では平成21年度の詳細な集計が手元にないため、平成20年度集計を引用しますが、平成20年度参加機関施設数342の中で296機関が全項目を外部委託し、残りの46機関が8項目の全部もしくは一部を自施設で測定を行っています。全項目の外部委託率は86.5%となっています。一方、受託外部機関数は22機関で、その中の4社の大きな検査センターが全体の80%を受託しています。
したがいまして国内の労働衛生検査の多くがこの4社によって実施されていることになります。
当会はこの4社に劣らない精度の維持・向上と迅速な結果報告を行い、さらに総合労働衛生機関としての特徴を発揮し、労働衛生の3管理(健康管理、作業環境管理、作業管理)に要求される事項に的確に対応することが必要と考えます。
環境保健課 福井 良成
環境保健部だより
砒素化合物の分析方法について(水素化物発生装置の導入)
砒素は古来、毒薬として使用され、人体にとっては非常に有害な物質です。しかし、近年においては、電子技術等の発展に欠かせない物質として、私たちの周りにおいても多用されるようになりました。そこで昨年は、労働安全衛生法の関係法令が改正され、新たに特定化学物質第2類として砒素および砒素化合物の管理濃度が設定され、平成21年4月から適用(作業環境測定の義務は平成22年4月1日より適用)されています。併せて、サンプリング方法および分析方法についても設定されました。
これまで当会ではフレームレス原子吸光光度計を用いて分析していましたが、より高感度に分析を行うため、発光分析装置(島津製作所製に水素化物発生装置島津製作所製)を導入し、分析を行っています。この水素化物発生装置とは、水溶液中の砒素と水素を反応させ、気体状の水素化物を発生させる装置です。その後、発生した水素化物を発光分析装置に導入することにより、水溶液を直接発光分析装置で分析する方法に比べて、さらに高感度に砒素を検出することができます今後とも、これまで以上の精度で砒素の分析結果を提供させていただく所存です。
★はじめに
労働安全衛生法施行令および特定化学物質障害予防規則等の改正に伴い、平成21年3月1日からホルムアルデヒド(別名:酸化メチレン、水溶液:ホルマリン)の作業環境測定が義務化され、6ヶ月毎の作業環境測定士(国家資格)による測定が必要となりました。
その他に必要な措置としましては、特定化学物質作業主任者の選任、発散抑制措置、年に2回の健康診断の実施等です。
対象は、ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物を製造または取り扱う作業場です。
★ホルムアルデヒドの有害性
人体への影響として、発がん性(IARC の評価:区分1A)、アレルギーなどの感作性(日本産業衛生学会の評価)、皮膚硬化、目および粘膜への刺激、肝臓および腎臓障害などが挙げられています。
★作業環境測定の概要
作業環境測定は、通常の作業が行われている時間帯に、その作業場の気中濃度を1時間以上かけて測定します(A 測定)。また作業者が最も高濃度にばく露される時間と位置で10 分間測定(B 測定)を行います。
その結果について一定の方法で評価を行い、評価結果に応じて適切な改善を行う必要があります。
★試料採取方法と分析方法
ホルムアルデヒドの測定は固体捕集法(DNPH/HPLC 法)もしくは検知管法によって実施します。
固体捕集方法(DNPH/HPLC 法)は、写真1のように固体に捕集したサンプルを分析室に持ち帰り、高速液体クロマトグラフ分析装置(HPLC:写真2)を用いて分析します。検知管と比較して、妨害物質の影響を受けず、低濃度であっても精度の高い結果が得られます。ホルムアルデヒドの管理濃度は0.1ppm と大変低濃度ですので、当会では、固体捕集法をお勧めしています。
一方、一般的に検知管方式は簡便でその場で濃度結果が分かる利点がありますので、簡易測定や自主的な測定には大変有効です。しかし、ホルムアルデヒドの検知管ではアセトアルデヒド等の化学物質の影響を受け易く、その場合実際よりも高い濃度を検出しますので、実際の環境状況を悪く評価する可能性があります。したがって、それらの測定値に影響を及ぼすおそれのある化学物質が存在しないことが検知管を使用する上での最低条件になります。

当会環境保健部では、ホルムアルデヒドを含めて有害物質を取り扱う場所の作業環境測定から職場環境の改善提案などを実施しております。お気軽にご相談下さい。
■連絡先
財団法人京都工場保健会環境保健部
TEL:075-823-0528
FAX:075-823-0527
川口 敦央